限りなく削ぎ落とされた生活から一変、徐々に街に活気が戻り、梅雨空と共に内にこもりがちだった気持ちも晴れ、日常に彩りが戻ってきたかのように思います。変化に慣れるまでのもどかしさや歯がゆさ、不安感や緊張感すら慣れ親しんだものになりつつある今、それら全ての現状を足かせと思わないよう努めたい。一方で、春に緑の侵略があった屋上は、野菜・果物が我先に生い茂り、秩序が保たれていた春先とは打って変わり、人が通れるか通れないかというくらい枝を張り身を主張し、ごった返している様子です。まずは前回「春の訪れ編」で豪華絢爛な花を見せてくれたサクランボの続編です。
どうやらサクランボは開花してから放っておいても実がつきにくいとのこと。昨年度の実入りの少なさを教訓に今年度は積極的な受粉作業を試みました。するとどうでしょう!4種類のサクランボは見事鈴なり状態の超豊作!!予想以上の収穫に、いつもより上機嫌の社長でした。
そしてこちらが、またもや鈴なりトマト。ベランダと屋上庭園のどちらでも、すくすくと育ちました。私が密かに「トマト・ウォール」と呼んでいるこちらの一帯には次々と花が咲き、その重みで柵が傾くのではないかと思うほど。日光を沢山浴びて育ったトマトは、一粒一粒がとてもつややかで味が濃く、サラダにすると抜群の存在感を放ちました。来年の夏もこうして、私たちの食卓を満たしてくれるでしょう。
ナスと枝豆も、かわいらしく育ちました。
そして最後に、夏の王者、獅子唐!!
ビタミンCが豊富で暑い夏を乗り切るのにはピッタリ!というのはもうご存知かと思いますが、獅子唐の魅力はそれだけではありません。それは…そのワイルドな辛味には似つかわしくないほど、小さくて可憐な白い花。可愛らしいと愛でているのも束の間、どんどん実をつけ、収穫しても収穫してもその勢いは収まることを知りません。「獅子唐千本ノック」は途切れることなく、8月に入っても更に枝を伸ばし、勢力範囲を広げるのでありました。おそらくは、めぐる季節のみが、獅子唐に王手をかけられるのでありましょう。
思うように手や足を伸ばせていない気分になったとき、縦横無尽に広がる野菜たちの生命力を覗いてみよう。きっとそのプランターの中には、本一冊に匹敵するほどの見えないストーリーが隠されているに違いない。